リンゴの樹皮から発見されたフロリジンに改良を加えたのが、SGLT2阻害薬です。
フロリジンはSGLT2だけでなく、小腸の上皮細胞で食物のブドウ糖を体に吸収しているSGLT1までブロックしてしまうので下痢を起こします。つまり、フロリジンそのものは薬としては役にたちませんでした。
SGLT2阻害薬は尿中に糖を排泄することにより血糖値を下げる作用がある薬剤で、現在7製品があります。今日の勉強会のルセフィ錠は1~2ヶ月間の平均血糖値であるHbA1cが0.6~0.7%下がるそうです。1日あたりの尿への糖排泄量は内服開始1日目から7日目までほとんど変わらず、約120gの排泄ができるそうです。これは国内で使用可能なSGLT2阻害剤のなかで、最も高い数値です。ちなみに糖120gとは、ご飯300g(牛丼特盛のごはん!)に含まれる糖質量です。さらに薬価も、同一規格で比較すると、最も安い設定になっています。したがって、最もコストパフォーマンスの高いSGLT2阻害薬と言えると思います。
SGLT2阻害薬は、血糖低下に加えて体重低減、脂質改善、肝機能改善、腎機能維持、尿酸低下などの多様な効果のある薬剤です。原理的には1型糖尿病にも薬効が期待できます。1型糖尿病の患者さんで体重コントロールなどに苦労している方も増えています。1型糖尿病患者さんへの保健適応を、ぜひお願いしたいと思います。
注意すべき点は脱水です。利尿作用により、最初の2週間程度は尿量の増大が見られるため、その間意識して適度な水分補給をすることが大切です。またシックデイ(発熱、下痢、嘔吐、食欲不振のため食事ができないとき)のときには、内服を中止し、ケトアシドーシスや低血糖を起こさないように注意が必要です。
「患者さまの思いや生活背景、疾患を考慮した治療を選択できるような、患者さまに寄り添った関わり」を目指して、今回は2型糖尿病の治療薬である、SGLT2阻害剤についての院内勉強会を行いました。
看護師 谷田部