降圧薬である、ミカルディス錠、ミカトリオ配合剤の勉強会がありました。
糖尿病では腎障害が起きやすいため、腎保護効果のあるRAS系阻害薬が第1選択薬になります。ミカルディス(一般名:テルミサルタン)錠は、RAS系阻害薬の中のARBに分類されるもので、昨年発売15周年を迎えた歴史ある薬剤です。PPARγ 活性化作用があり、ARBの中で最も脂溶性が高く、半減期が長く、持続性の長さ (24時間効きます) を売りにしています。また、糖尿病性腎症を持つ方の腎機能の悪化を抑える働きがあります。
ARB、Ca拮抗薬、利尿薬は、それぞれ作用機序の異なる降圧薬ですが、高血圧学会ではこの3剤を高血圧治療の第1選択薬としています。この3剤を組み合わせると相乗的な、より強力な降圧効果が得られますが、その一方、薬剤数の増加による飲み残しが増えることが懸念されます。
しかし、その問題を解決するべく2016年に発売されたのが、この3剤を1つの錠剤にまとめた「ミカトリオ配合剤」です。ちなみに3剤を1つの錠剤にまとめた配合錠は今後発売される予定がなく、唯一無二の薬剤です。
配合剤にすることで錠数が減り、飲み残しが減ることが既に報告されていて、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの分野で続々と開発が進行しています。
トマト内科では、患者さんの内服の負担を極力抑え、しっかり飲んでいただけるよう、いろいろな配合剤を積極的に処方しています。このミカトリオのトマト内科の使用数は、全国レベルだそうです。
ミカトリオには次の薬剤が含まれています。
ARB: テルミサルタン(ミカルディス)
Ca拮抗薬:アムロジピン
利尿薬: ヒドロクロロチアジド
原則として、下記のいずれかの組み合わせを8週間以上内服し、安定した血圧コントロールが得られ、副作用がないことを確認できた場合にミカトリオの保健処方が可能になります。
① テルミサルタン80mg+アムロジピン5mg+ヒドロクロロチアジド12.5mgの合計3錠
②「 テルミサルタン80mgとアムロジピン5mgとの配合錠」+ヒドロクロロチアジド12.5mgの合計2錠
③ 「テルミサルタン80mgとヒドロクロロチアジド12.5mgとの配合錠」+アムロジピン5mgの合計2錠
ときどき経験する副作用としては
・テルミサルタンによるカリウムの上昇
・アムロジピンによるむくみ
・ヒドロクロロチアジドによる尿酸値の軽度上昇、光線過敏症
などがあり、トマト内科では毎回の相談コーナーや、迅速検査で、しっかりと確認をしていきます。
トマト内科の高血圧治療の基本は、運動習慣と減塩、体重減量であることは変わりません。
しかし、なかにはお薬に全面的に頼りたい方もいらっしゃいます。患者さんごとに、どれだけお薬を重視するかをお聞きし、ご希望に沿った治療を考えていきます。
薬の数を減らしたい、副作用ではないか、などと別の薬に関心があるものの、長年内服している薬を変えることに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。その場合は医師・スタッフに正直にお伝えください。患者さんにとって良い選択ができるよう、一緒に考えていきます。
糖尿病療養指導士・管理栄養士 大西
光線過敏症