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甲状腺疾患勉強会

8月22日、甲状腺についての勉強会がありました。甲状腺は首の前側、のどぼとけのすぐ下にあります。男性の方が女性より低い位置にあります。蝶が羽を広げたような形で気管を包み込むようにあり、たて4cm、厚さ1cm、重さ15gくらいの小さな臓器です。甲状腺は、食べ物に含まれるヨウ素を材料にして甲状腺ホルモンを作り、血液中に分泌するところです。

 

甲状腺ホルモンには、体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする働きがあります。全身の代謝や各臓器の働きを活発にするなくてはならないホルモンです。甲状腺ホルモンは多すぎても少なすぎても体調が悪くなってしまいます。甲状腺ホルモンを調節するために脳から送られる伝令が甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。甲状腺刺激ホルモン(TSH)は血液中の甲状腺ホルモンのほんの少しの変動も敏感にキャッチして、甲状腺ホルモンの量を一定に保つように指示しています。

 

 

 

甲状腺機能低下症の原因として最も頻度が高い橋本病は男女比1:15で女性に多く、甲状腺が大きくなる、体がだるい、いつも眠い、手や顔がむくみやすい、寒がりなどの症状があります。うつ病のような症状が出現します。橋本病では、甲状腺にリンパ球が浸潤し、甲状腺に障害を与える自己抗体(TgAb,TPOAb)が出現します。その結果、甲状腺細胞が破壊される疾患です。治療は不足している量の甲状腺ホルモンを薬として服用し、甲状腺ホルモンを正常化します。

 

甲状腺ホルモンが過剰に分泌される甲状腺中毒症のなかで、最も頻度が高い疾患はバセドウ病です。男女比は1:5で女性の20~30歳台に多くそうです。症状は甲状腺が大きくなる・眼球突出・頻脈・手の震えのほか、多汗暑がり、イライラ、食べても痩せるなどです。バセドウ病のしくみは甲状腺にあるTSHレセプターに対する自己抗体(TRAb)ができてしまい、このTRAbが甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンが必要以上に作られるためバセドウ病になると考えられています。治療は薬物により甲状腺ホルモンの産生や、ホルモン分泌を抑制する薬物治療、アイソトープが入ったカプセルを内服し甲状腺細胞を減らすアイソトープ治療、甲状腺の一部を残して切除する手術があります。

 

女性に多い甲状腺疾患ですが、甲状腺自己抗体(TgAb,TPOAb)が出現しているときは、着床率が低い、流産しやすいなどのデータもあり不妊治療中の方は、いちど検査をすることをお勧めします。また妊娠初期に甲状腺ホルモンが低いと胎児の脳の発達に影響が出る可能性が指摘されています。これから妊娠を予定している方は、TSH,TgAb,TPOAbの数値の確認をおすすめします。

 

甲状腺疾患の診断には、上で紹介した、TSH,TgAb,TPOAb,TRAbに加えFT3,FT4,CRPの検査値や、甲状腺エコ-で甲状腺の腫大の有無などを確認することが必要になります。トマト内科ではいずれも、院内迅速検査を行い、受診日に結果の説明をしていますので、皆様の受診をお待ちしています。

 

 

看護師 日村