家族性家族性高コレステロール血症の勉強会がありました。
家族性高コレステロール血症(以下FH(エフエイチ))と言われる疾患は、LDLコレステロールが、遺伝的に高い状態が続く疾患です。若い年齢で動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞などの重篤な疾患につながりやすくなります。
FHには、ホモ接合体とヘテロ接合体があります。
私達の遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが一組となってできています。
LDL受容体やその働きに関わる遺伝子に関して、この両方に異常がある場合を「ホモ接合体」と呼び、いずれか一方のみに異常が認められる場合を「ヘテロ接合体」と呼びます。
「ホモ接合体」は、100万人に1人存在し、血清総コレステロール値は600㎎/dL以上になります。そして、新生児のときから高LDLコレステロール血症が認められ、若年期より心筋梗塞などの冠動脈疾患のリスクが高いという特徴があります。
「ヘテロ接合体」は、200~500人に1人に存在し、未治療時のLDLコレステロール値は180㎎/dL以上になります。そして、心筋梗塞などの冠動脈疾患のリスクが高いという特徴があります。
次のような方は場合はFHの可能性があります。
①未治療時のLDLコレステロールが180㎎/dL以上
②黄色腫(特にレントゲンでアキレス腱肥厚9mm以上)
③FHあるいは早発性冠動脈疾患※の家族歴(2親等以内の血族)
※早発性冠動脈疾患とは、心筋梗塞や狭心症などが若くして起こることを指し、男性55歳未満、女性65歳未満での発症
LDLコレステロール、レントゲンによるアキレス腱幅、それぞれトマト内科ではご来院日に測定可能です。ご心配な方はご相談ください。
アキレス腱幅
女性は更年期以後、LDLコレステロール値の上昇を認めることが知られていますが、既に薬物治療でLDLコレステロール値がそれほど高値でない場合があり、「FH」と気付かれない場合もあるので、注意が必要です。
FHでは、低脂肪食・低コントロール食などの正しい食生活と同時に、喫煙、肥満などの動脈硬化のリスクを避けることが大切ですが、生活習慣の改善のみでLDLコレステロールを充分に低下させることは困難な場合が多いため、適切な薬物療法を行います。
最近では肝細胞から分泌されるPCSK9というたんぱく質分解酵素がFHに関わっていることも分かってきました。
薬物療法には、いくつかの選択肢がありますが、ヒト抗PCSK9モノクローナル抗体製剤「レパーサ」皮下注140㎎シリンジ・ペン/420㎎オートミニドーザーは、PCSK9を阻害することで、肝臓のLDL受容体のリサイクリングを増加させます。そして、その結果、LDLの取り込みが促進され、血液中のLDLコレステロールを強力に低下させます。
「FH」について、詳しくお知りになりたい方は、スタッフまでお声かけ下さい。
管理栄養士 船山