· 

糖尿病治療薬のFUSION~患者の未来を護る新たなパートナー

糖尿病WEBシンポジウム「糖尿病治療薬のFUSION~患者の未来を護る新たなパートナー」についての院内勉強会に参加しました。

 

演者の野見山崇先生は配合錠、単剤のメリット、デメリットについてお話しされてました。

今回紹介されましたスージャヌ配合錠はDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬が一つの錠剤にまとめられた配合剤となります。スージャヌ配合錠は、

DPP-4阻害薬シタグリプチン(ジャヌビア錠)50mg

SGLT2阻害薬イプラグリフロジン(スーグラ錠)50mg

との合剤で、薬価は263.8円/錠です。昨年9月に発売されたカナリア配合錠に続いて、国内で2番目に登場したDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤になります。

 

メリットとしてスージャヌ配合錠はシタグリプチン(ジャヌビア錠)またはイプラグリフロジン(スーグラ)単剤治療より強いHbA1c低下作用を示しています。配合剤とすることで錠数が減り飲み残しが減り、医療費軽減につながります。薬価もそれぞれを合わせた金額より約60円低減されます(3割負担の方で、1か月約600円の削減)。

 

処方するにあたっては、万一副作用が発生した場合、原因の特定が困難になることがあるため、単剤から開始して頂き、副作用出現がないことを確認し、スージャヌ配合錠へと移行していくことが必要となります。

 

シタグリプチン(ジャヌビア錠)は心不全患者の糸球体濾過能を維持し、1回拍出量や心拍数を抑えることで全般的な心機能を改善する可能性があること、また、外因性BNPの心保護作用を高める可能性があるそうです。

 

加齢とともに代謝排泄が低下し、体内に薬剤が滞留しやすいなどの理由で、以前よりも効果が強くなって低血糖につながる、副作用が出るなどの危険性が高まります。この一方でご高齢の方では低血糖の自覚症状が出にくいことがあるので注意が必要です。

高齢の糖尿病の方は低血糖のときであっても、発汗、動悸、手のふるえなどの低血糖症状が出現しにくくなり、糖分をとるなどの対応をしないうちに重症な低血糖になることがあります。さらには、重症の低血糖は転倒・骨折や、認知症、心血管疾患の発症につながるといわれています。

 

 

実際、ご高齢の患者さんに「低血糖がありますか」と聞いてもほとんどの方が「ありません」と答えるようで、具体的に「夕方にお腹がすくことはありませんか?手足がしびれることはありませんか?」など確認することが低血糖を早期に確認できるとおっしゃっていました。さっそく実践していきます。

 

野見山先生は、栄養相談を取り入れていくことで内服薬のみでの治療よりもさらにHbA1cが低下し血糖コントロール良くなっていくとおっしゃっていました。これはトマト内科が以前から重視している、食事、運動がお薬に優先するという方針に一致しています。

トマト内科では3名の管理栄養士が一方的な「栄養指導」ではなく、双方向のコミュニケーションに基づいて何でも困っていることを話してもらい、その解決のために相談に乗りますよ、という「栄養相談」のスタンスを取り入れ実際に栄養相談をさせて頂いています。日頃の食生活で困っていること、不安なこと、改善したいこと、質問などお気軽にご相談ください。

 

単剤から合剤希望の方やお薬の錠数を減らしたいかたがいらっしゃいましたら、問診の際にお伝えください。

 

看護師   赤石澤