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インスリン治療導入時の不安

Web講演会を聴講しました。テーマは、「インスリン治療導入時に患者が抱える、経済的不安に対する対応について」でした。

 

既に経口血糖降下薬を内服されている患者さんが、医師からインスリン導入を勧められた場合、どのような心境になるでしょうか。「インスリン注射は痛そう」「人前で注射をしたくない」などの他に、「治療費が高くなりそう」という不安を持つ方も多いのではないでしょうか。実際、治療費が高くなるイメージが強いことでインスリン導入を拒む方は多いようです。

 

しかし、インスリンを適切な時期に導入することで、早急に血糖管理が行え、それがその後の合併症予防に繋がれば、高い治療費を長期的に払わずに済みます。

 

お金に関する話題は、とてもデリケートです。「治療費を高くしたくない」と言い出すのは、なかなか勇気がいると思います。しかし、私たちトマト内科のスタッフは、金銭面でも患者さんに納得して頂けるような治療をご提案していきたいと考えています。

 

今回の講演会では、患者さん役と看護師役によるロールプレイを通して、以下のことを学びました。

 

【ポイント①】

患者さんが言い出せない気持ちを理解しましょう。

 

【ポイント②】

経済的な相談は打ち明けにくいため、常日頃から信頼関係を構築しておきましょう。

打ち明けてくれるまで待つ姿勢で対応しましょう。

 

【ポイント③】

話しにくいことを話して頂いた時は、丁寧に対応しましょう。

 

【ポイント④】

患者さんの生活背景の情報は、インスリン治療の導入によって経済的な不安を抱えているのではないだろうか、という予想に繋がります。

 

【ポイント⑤】

経済的な不安を抱えている患者さんは、現在の生活にしか目を向けることが出来ず、高血糖や合併症の症状がないとインスリン治療の必要性が感じられなかったりします。このような状況を理解しながら、支持的な態度を示し、患者さんが抱える不安に介入していきましょう。

 

【ポイント⑥】

患者さんのインスリン治療にかかる費用を把握しましょう。

注入器・注射回数・インスリン量の選択により、多少費用が抑えられる可能性があるため、その知識を活用し、主治医と共に検討していきましょう。

 

【ポイント⑦】

他職種(医師・薬剤師・ソーシャルワーカー)とも連携を取っていきましょう。

その中で、看護師は患者さんの全体像を把握しやすい立場なので、他職種間の調整にも努めましょう。

 

以上のことから期待される効果として、患者さんが自身の治療方法について“自己決定できるようになる”ことが挙げられます。また、打ち明けにくい内容を相談したこと、今後も相談できる環境があることを認識することが、安心感に繋がり、今後の生活への不安の軽減にも繋がります。

 

厚生労働省の報告によると、糖尿病患者さんが治療を自己中断してしまう原因のトップ3は、「仕事が多忙」「体調が良い」「治療費が経済的に負担」だそうです。

 

トマト内科では、経済的負担により、治療を中断したり適切な治療を行えないという患者さんを作らないよう、日頃から問診・診察にて患者さんの思いを傾聴することに努めています。お悩みがある場合は、治療費に限らず、お気軽にお声掛けください。

 

講演会の中の、“糖尿病をみることは、患者さんの生活をみること”という言葉が非常に印象的でした。

私は管理栄養士なので、まさに患者さんの“食生活”を見させて頂いています。食生活は、大変プライベートなこと。とやかく言われたくない方も多くいらっしゃると思います。そのお気持ちも分かるため、せっかく栄養相談を受けて食生活についてお話を聞かせて頂くときは、患者さんの立場に立ち、決して一方的な話にならないよう心掛けています。始めは言葉数が少なかった患者さんが、栄養相談を繰り返すことで自発的に質問されるようになることがありますが、私にとって嬉しい瞬間です。今後も、患者さんとの信頼関係を大切に、患者さんが会話を楽しめる栄養相談を目指します。

 

管理栄養士 大西