糖尿病からダイアベティスへ.患者さんの意識 宇都宮編
看護師 亀山沙記
糖尿病の呼称について,誤解や偏見をなくすことを目的に,ダイアベティスが提案されている.2024年X月, 2日間に外来受診した糖尿病のある方へ看護師による聞き取りを実施した.聞き取り人数は計150名. 病型は1型16名,2型134名. 聞き取り時はバイアスが入らないように「糖尿病」と「ダイアベティス」と「他の呼称」を選ぶ形式で行い検討した.結果は「糖尿病」を選んだ方が76.3%「ダイアベティス」を選んだ方が16.7%「他の呼称」を選んだ方が6.9%であった.1型糖尿病のある方に限定すると, 56%が他の呼称を選び多くの意見が1型と2型を区別してほしいというものだった. 小学生のときに周囲に1型の糖尿病と知られた際, だらしない生活をしているといじめられたとの声, 生活習慣病と同じ病名として扱われるのが嫌だという声が聞かれた. 今後検討していかなければならない重要な意見と思われる.
身なり、言動などから受ける印象以上に自己管理の困難な1症例から見えてきたこと
看護師 佐野友美佳
【症例】高齢男性。独居、整容田保たれ、ADL自立。デグルデク、デュラグルチドと経口血糖降下薬で治療中だがHbA1c12%前後で推移。長谷川式は22点だが、治療実施率が低い可能性があった。約3か月間、開院日は毎日来院していただき注射、血糖測定の手技確立と習慣化を支援した。1日1回の内服に変更し来院後の内服とし習慣化を支援した。休診日には作成した注射、服薬、血糖測定の自己チェックリストで、確実な実施を支援した。一包化した薬袋にあらかじめ内服日を書き、空になった薬袋を持参していただいた。
【結果】HbA1cは3か月12.1%から8.4%に改善した
【考察】治療実施率が高そうな患者さんであったが、毎日の来院で、まったくできていないことなどがわかってきた。毎日の来院で見えてきたことが多く、今後も必要性のある患者に適応していきたい。
セマグルチドの内服支援で見えたきたこと
看護師 南 志保
セマグルチドを始める方に、当初、製薬会社のパンフレットを用い「6時間以上絶飲食後の起床時に、120㏄以下の水で内服し、30分以上絶飲食する」ようお話ししていた。当院では、スタッフが患者さん全員に医療面接を行っているが、セマグルチド開始後、男性の約1/3が嘔気により中止を望んでいることがわかった。そこで医師と相談し、最初は内服10分後に飲食し、嘔気がなければ20分、30分としていくようにパンフレットを修正したところ、中止を望む方はほとんどいなくなった。起床時内服が記憶に残り、6時間以上の絶飲食を忘れている方もいた。絶飲食を絶食と思い込んでいた方もいた。そのつどパンフレットを修正していった。パンフレットはそのまま使わず修正していく必要がある。患者さんが誤った理解をしていることがあり、teach back法で聴き取ることが重要だと実感した。
糖尿病連携手帳の活用。自記式(自分で記録)への変更における問題点、今後の方向性
看護師 篠田菜津美
【背景】自分の状態を把握することで、より治療への意欲が向上する。しかし、自分のHbA1cなどを把握していない患者さんがきわめて多い。
【方法】糖尿病連携手帳に患者さんご自身が記入することで自己の状態把握につながると考え、自記式 に変更してみた。変更後の患者の反応を、スタッフから聴き取った。
【結果】2日間調査。この間で糖尿病連携手帳を使っている方の総数は99人。糖尿病連携手帳を持参された方79人、自記式の記入ができている方47人であった。「手帳は病院側で記載するものと思っている」、「書き方がわからない」という意見が多かった。
【考察】もともとは、糖尿病連携手帳は患者さんが記入してもいいことになっていた。多くの施設では病院側で記載をおこなっているため、患者さんは病院側が記載するものと考えている方が多い。自記式への変更は時間を要する。「自記式」連携手帳があるといいのかもしれない。今後も継続し、自記式の理解とともに自己の病態を把握していただき、合併症予防につなげたい。
アテオス注射の破損を減らす1方法
看護師 直井結花
【問題提起】アテオスは、注射針を目にすることなく恐怖感なく注射できる長所がある。反面、キャップを外さずにロック解除でき、気づかずに注入ボタンを押すと、破損してしまう。当院では、看護師が診察前にすべての患者に医療面接を行っているが、1週間 に1人 程度から破損の声が聞かれ、意外に多いことがわかった。破損に対し保険での再処方ができないことを納得していただくのに時間を浪費していた。高価な薬剤がむだになっていた。
【解決方法】製薬会社に、キャップの色がグレーで目立たないため赤色に変える、キャップと本体の間にキャップを外すように書いたカードを挟み込む、の提案をしたが反応がない。そこで、キャップを外したら、捨てずに、テーブルの上に置き、必ずテーブル上にキャップが置いてあることを確認しながら、お腹に当てるようにアドバイスを加えたところ、破損が激減した
リブレからリブレ2へ変更し血糖マネジメントが改善した1型糖尿病の方の一症例
看護師 服部若奈
症例はリブレとCSIIを併用していた1型糖尿病のある方。リブレ2に変更後HbA1cが7.3%から6.7%に改善した。患者さんからは「血糖値を見る機会が増えた」「高血糖アラートで追加ボーラスを打つ機会が増えた」と表出があった。この改善は、リブレ2の高血糖アラート機能により今まで見過ごされていた高血糖の対応が増えたこと、低血糖アラートに早めに対応することで低血糖の回数も減り、血糖値のリバウンドの回数が減ったこと、リーダーをかざさずにリアルタイムに血糖値が確認でき、血糖値を意識し、食事等を振り返る機会が増えたこと、などによるものと考えられる。リブレ2のアラートや、こまめな血糖値確認が糖尿病のセルフマネージメントに有効なことを示唆している。またインスリンの多寡に敏感なインスリン依存度の高い方ほどリブレ2の有効性が期待できるよう思われる。
POCT機器でACR(尿中アルブミン/クレアチニン比)の評価可能な症例の報告
臨床検査技師 沼波華奈
DKD は透析の第1原因となっている。ACR は、DKD だけでなく心血管病のサロゲートマーカーとしても重要な検査である。ACRを即日検査し「今の」状態を患者に伝えることで、治療強化の必要性の理解、早期治療介入につながる。しかし診療所では、ACRを検査センターに外注するのが一般的である。POCT機器を用いることで即日検査が可能となるためPOCT機器の有用性を検討した。糖尿病のある方の尿30検体を用い同一検体に対するPOCT機器のACRと検査センターの生化学自動分析装置のACRを比較した。その結果、両者同様の結果が得られるものの、約1/3はPOCT機器の測定範囲の下限値又は上限値を超え測定不能であった。POCT機器は、簡易かつ迅速にACRを測定することができるが、症例に応じて検査方法を使い分け、適切な診療につなげられるよう検討が必要である。
外来で治療開始し継続治療している新規発症1型糖尿病
院長 増渕孝道
糖尿病治療ガイド2022~2023では「1型糖尿病の発症が疑われる場合糖尿病専門医への紹介」とされている。こうした紹介患者さんが外来受診時、HbA1c高値、高血糖から糖尿病が診断され、CPR低値から1型糖尿病発症が疑われる。2型糖尿病であっても糖毒性でCPR低値のことがあり注意を要する。生化学、血ガスからDKAを否定する。1型糖尿病発症が疑われる際、このさきDKAに進展する可能性があり、入院治療をお勧めするが、仕事の予定がある、大きな障害なく生活できている、などから同意が得られないことがほとんどである。当院で1型糖尿病発症時から外来治療を継続しているいくつかの症例を報告する。また外来治療可能な条件として次を考える①DKAになっていない②インスリン注射、自己血糖測定の手技が確実である。③仕事の合間等に毎日通院が可能である。
トマト内科糖尿病 高血圧 甲状腺クリニック
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