糖尿病を深掘りする

血糖値とは

血糖値とは

血液の中に含まれるブドウ糖の濃度を血糖値と言います。

血糖値126以上が糖尿病と聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

正確には126「㎎/dl」と表現します。

126㎎(0.126g)のブドウ糖が、血液100㏄の中に含まれることを意味します。

 

食事からの栄養素(ブドウ糖、蛋白質、脂質など)

は小腸の絨毛(じゅうもう)から血液に流れこみます。

 

血液に流れこんだブドウ糖は血糖値を上昇させます。

 

血液中に流れこんだタンパク質、脂質は、ゆっくり分解され

一部がブドウ糖となり血糖値を上昇させます。

 

血液中のブドウ糖濃度が高い状態を「高血糖」

血液中のブドウ糖濃度が低い状態を「低血糖」

といいます。

 

糖尿病では、高血糖が起きやすくなります。


ブドウ糖とは

糖質は、多糖類、二糖類、単糖類があります。

ブドウ糖は単糖類に分類されます。

 

食物に含まれる多糖類、二糖類は、腸の中でブドウ糖に分解され、

その後絨毛から吸収されます。

ブドウ糖に分解されるまでは、吸収されません。

 

「アルファグルコシターゼ阻害薬」(ボグリボースなど)は

食物に含まれる糖質が、ブドウ糖に分解されるのを

阻害し、遅延させ、食後の急激な高血糖を防ぐ作用があります。

 

食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)は

動脈硬化(脳梗塞・心筋梗塞等)を進行させます。


 

血糖値を下げるホルモン=インスリン

ブドウ糖が血液に流れ込み、血糖値が上昇すると、

血糖値に応じたインスリンが、膵臓から血液中に分泌されます。

 

インスリンは血液に乗って全身に運ばれ

全身の細胞に作用し、血液から、細胞の中へ

ブドウ糖を移動させます。

これにより、血液中のブドウ糖濃度が低下し、

血糖値が低下します。

 

糖尿病では、充分なインスリンが分泌されないため、

血液中のブドウ糖濃度が高い状態、「高血糖」となります。

 

細胞内に移動したブドウ糖は、

細胞が生きるためのエネルギーとして

使われます。

 

1型糖尿病では、膵臓からインスリンがほとんど分泌されません。

これを補うために、インスリン注射を行います。

 

1型糖尿病では、インスリン注射をしないと、

細胞内のブドウ糖が枯渇し

細胞が正常な働きができなくなり、体調不良になります。

最悪の場合は死に至ります。


 

高血糖の問題点

人間は約60兆個の細胞で、できています。

細胞一つの大きさは約0.02mmです。

 

高血糖=血液中の「高濃度のブドウ糖」は

全身の細胞に障害を与えます。

 

細胞が障害を受け「糖尿病合併症」

が発症します。


 

糖尿病合併症

糖尿病であっても、高血糖状態を

長く放置しなければ、

糖尿病合併症を防ぐことができます。 

 

糖尿病の方全員が、合併症を発症するわけではありません。

 

糖尿病神経障害

両方の足の「指先」、「足の裏」

の鈍い感じやチクチクした感じから始まることが

一般的です。

 

初期の段階であれば、適正な血糖値を保つことなどで

改善することがあります。

 

糖尿病網膜症

 

眼底出血が起きます。

症状がかなり進行しないと自覚症状はありません。

 

自覚症状がない、ごく初期の段階で

出血が見つかった場合は、血糖値を十分に

下げておくことで改善することがあります。

 

初期の段階であっても、血糖値を

高いまま放置しておくと

どんどん進行し、失明に至ることがあります。

 

このため、自覚症状がなくても定期的に

眼底検査をしていくことが重要です。

 

トマト内科では、院内で眼底検査を行っています。

 

糖尿病腎症

腎臓の働きがしだいに低下します。

低下が大きくなると、人工透析が必要になります。

 

人工透析が必要となる原因の約40%

血糖値が高いまま長く経過した方です。

 

人工透析が必要となる原因の約20%

血圧が高いまま長く経過した方です。

 

血糖値、血圧を適正に保ち続けることなどで

腎臓の働きの低下が抑えられます。

 

 

血液の中に存在するクレアチニンは、

腎臓から尿に排泄されます。

 

腎臓の働きが悪くなると血液中の

クレアチニンの濃度が高くなります。

 

採血によるクレアチニンの濃度と、年齢、性別から

eGFRという数値を計算します。

 

eGFR 70であれば、腎臓の働きが70%という意味合いとなります。

eGFR 10以下が人工透析が必要となる目安です。

 

eGFRは腎臓に問題がない方では

1年あたり約0.7程度低下するのが一般的です。

1年あたり3以上の低下が、毎年続くときは要注意です。

 

高血糖、高血圧などによる腎臓障害の初期には

尿の中排泄される、尿中アルブミンという微小なたんぱく質

が増加し始めます。

 

尿中アルブミンの増加が始まったときは、

腎臓を守る治療がより重要となってきます。

 

具体的には、

血糖、血圧、脂質、尿酸を適正に保つ、

肥満の方は体重を適正に保つ

減塩、減酒、禁煙

などをしっかり行うことが重要です。

 

近年

SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、アルドステロン拮抗薬

に腎臓を守る作用があることがわかってきました。

必要な時は、こうした薬剤の使用を検討します。

 

トマト内科では尿中アルブミンを測定し

腎臓障害の初期段階を早期に検知し

適正な治療を行います。